岩泉型インターンシップ 2018

 民間企業で1dayインターンシップが流行ってきているなか、こちら岩泉町では7泊8日で行われる「岩泉型インターンシップ」が今年も実施されました。今年で3回目となるこのインターンシップは「地域で働くことは、地域で暮らすこと」をテーマとして、一企業のみで行うインターンシップとはひと味違った体験ができる、地域志向型インターンシップです。
 
 
 さて、今年の岩泉型インターンシップも林業コースのほか、公務コース、製造業コース、観光・小売業コースの4つのコースで募集が行われ、町内の企業・事業所で5日間の職場体験を行ってもらうプログラムで実施されました。今年は関東地方の大学からも3名が参加し、4コース合わせた参加者は12名(男性2名、女性10名)でした。そして、我が林業コースのプログラムには1年生と3年生が1名ずつ参加してくれました。

(今年のインターンシップ生12名の皆さん)
 
 
 林業コースのカリキュラムは、昨年までと同様に岩泉町の林業全般・川上から川下までの各事業所にて日替わりでの職場体験をとおして、岩泉のトータル林業を体感してもらうというものでした。初日は午後から4コース合同でのガイダンス、第2日目からの5日間はコース別に分かれて職場体験、林業コースでは「岩泉の明日の林業をつくる会」会員事業者に受け入れ先となっていただき職場体験が行われました。

((有)日本木材工業さんでの職場体験(集成材加工))
 
 受入れ先は、職場体験1日目(株)西倉工務店さん、2日目(有)日本木材工業さん、3日目岩泉町森林組合さん、4日目清水畑商事(有)さんということで、各事業所で作業の見学や話を聞くというだけではなく、機械や工具を使いながら現場で実際に作業を体験してもらいました。

(岩泉町森林組合さんでの職場体験(レーザー測量))
 

(清水畑商事(有)さんでの職場体験(製材))
 
 
 体験最終日の5日目は(株)岩泉フォレストマーケティングが受入れ先ということで、まずは林業が抱える様々な課題、岩泉の林業の特徴、FSC®森林認証、岩泉の明日の林業をつくる会の取組みなど、資料を使いながら説明。

(2年前の8月30日台風10号被害の画像も見てもらいました)
 
 また、当日は8月30日ということもあり、ちょうど2年前になる台風10号被害について画像を見ながら、当時の状況からこれまでの復旧・復興の過程をお話しました。そして、(株)岩泉フォレストマーケティング設立の経緯、現在進めている事業や商品についてなど説明しました。

((株)岩泉フォレストマーケティングの取組みを説明)
 
 その後、今回の受入れ事業者以外のつくる会会員事業者の現場や工場の見学を行う予定でしたが、天候不良のため予定変更。実際に山を歩くことはできませんでしたが移動の車内から広葉樹の山やカラマツの人工林の様子を見てもらいました。もちろん?、移動の道中でてーだぶ(ボンネットトラック・いすゞTW)とも遭遇…。その後、岩泉町歴史民俗資料館にて、かつては木炭生産で栄えたという林業を中心に岩泉町の暮らしや歴史に触れてもらいました。

(岩泉町歴史民俗資料館にて)
 

(木炭について…原木を馬やボンネットトラックで運搬)
 
 
 (株)岩泉フォレストマーケティングの会社事務所をお借りしている集工社さんの作業場にて木工体験、オンラインショップで販売中のタッチウッドを製作してもらいました。午後のおやつ?には、岩泉の暮らしに触れる?…ということで、FSC認証炭で焼いたジビエの試食体験も。ウッドプランクでの調理・試食体験は残念ながら時間が足りず断念…でした。

(木工体験とFSC®認証炭の燃焼実験中?)
 
 
 全体のプログラム最終日となる8日目には、龍泉洞温泉ホテルにて合同報告会が開かれました。林業コースでは事業所を日替わりで職場体験してもらいましたが、(株)西倉工務店さんでの体験から家をつくることは命の保証であるというものづくりへの責任感や、(有)日本木材工業さんでの体験をとおして製品の仕上げに対する作業員の方々の努力やユーザーへの配慮という仕事に対する姿勢について学んだことなどを報告してくれました。
 また、岩泉町森林組合さんではレーザー測量を体験し、機器のハイテク化・効率化の便利さを感じ、一方で清水畑商事(有)さんでの体験から、生き物として木をとらえ一本一本の特徴を見極めながら製材するという、規格化され機械で大量生産される製品とは異なるものづくりについて考え、林業においてハイテク化が一概に良いとは言えないのではないか…という考察をしてくれました。

(合同報告会)
 
 そして、(株)岩泉フォレストマーケティングほか全事業所での体験をとおして、山での仕事だけではなく商品の出口も考えた商売としての林業を意識したという点や、家を建てるのが工務店だけでできるのではなく、素材生産者・製材業者・工務店のつながりがあり、川上から川下までが一緒にチームでものづくりをすることの重要性への気づきなど、林業コースのふたりから、まさにつくる会の取組みの大事な部分に触れる発表を聞くことができました。

(7泊8日のインターンシップは無事終了)
 
 
 5日間の職場体験、特に(株)岩泉フォレストマーケティングでの受入れを中心にご紹介しましたが、コテージでの共同生活や岩泉在住・在勤の大学OB・OGとの情報交換会、休日には大川七滝まつり見学など岩泉の人やモノ、地域性を知る体験などもありました。また、今年はサポーター(前回のインターンシップを経験したOB・OG)の参加もあり、インターンシップ生の皆さんにとってたいへん充実した中身の濃い8日間だったかと思います。
 岩泉型インターンシップに興味を持った、来年は参加してみたい…と思った学生の皆さんは、インターンシップin東北で就業地「岩泉」を入力して検索をどうぞ。次回岩泉型インターンシップでお会いできることを楽しみにしています。