【岩泉の森の人にきく】金寿恵運送有限会社・皆川克一さん

広葉樹の恵みをいただく最初の仕事

“岩泉の林業の始発点を担う2社”

 

Part2: 金寿恵運送有限会社 皆川克一氏


(皆川克一氏)

―金寿恵運送について、教えてください。

弊社の始まりは昭和30年代。当時は炭焼きを行い、盛岡に運んで米と交換していたそうです。素材生産と運送の素地はその頃からあったことになります。事業の半分が素材生産、もう半分が運送であり、素材生産は広葉樹中心で、町内外に納めています。現場は町内外にあります。祖父は、私が教科書で習った木炭で走る車に乗っていたという話を聞きました。
私は学生時代を仙台で過ごし、20年ほど前に岩泉に戻りました。家業があるので以前から地元に戻ることは考えていました。去年(平成28年)の11月に社長になりましたが、特に仕事内容は変わっていません。社長になって一年になりますが、もう一年経ったことにビックリしています。今後とも皆様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

(台風災害復旧の作業風景)

―今後の課題、これから取り組みたいことを教えてください。

先々のことを考えると人手不足により運搬と素材生産のどちらも厳しい状況ですが、岩泉町全体が元気になってくれれば良いと思っています。以前、私の同級生から地元に帰って子育てしたいが就きたい仕事がないという話を聞きました。これからの若い人たちが岩泉の自然の中で仕事と子育てが出来る環境があればと思います。山の仕事といっても伐採だけではなく、狩猟、山菜採りなどいろいろあると思います。私自身もあれこれやってみたく、山のことを知っている諸先輩方の話を聞かせてもらうのは楽しいですし、今以上に色々な話を教えてほしいです。若い人や岩泉で働きたいといった方を岩泉にある山々の頂上まで連れて行きキャンプなどをやったりすると面白いかと思います。
また、岩泉にいるとTWは珍しくなく身近な存在で、私が幼いころ、祖父がTWで山の現場に連れて行ってくれました。そこで、今の子供たちには、伐採現場やTWの積込運搬を見てもらい、一人でも山の仕事に興味を持ってくれないかなと考えたり、樹木、クルマ、山について岩泉でしか経験できない様々なことを体験し学んで欲しいと思っています。子供たちが学んだことがいつか岩泉の未来に輝けばと思います。


(作業道の作設風景)

―所有するTWについて教えてください。

TWは4台所有していますが、運転手は職人です。免許を取ってもすぐに乗れるわけではありません。岩泉の山は急斜面が多く、未舗装道路や、悪天候時、冬山などの運転はもちろんのこと、積込み作業等もあるため使いこなすのは大変です。昔は助手を連れて行き、「帰りは運転してみろ」と、経験を積ませたというような話しを聞いたことがあります。また、弊社は専属の修理工が昔からいるので、何とか自社で直せています。昔の車のほうが直しやすいようで、今でも大事に乗っています。

(TW生産終了の記念オブジェ)

―好きな岩泉の樹は何ですか?

イロハモミジなど、赤く紅葉する木が好きです。黄色といった色より赤が綺麗で良いです。小川小学校前に真っ赤なもみじがありますが、紅葉で周囲の山が色づく中で一番目立つあの赤が好きです。夏の緑も好きですが、やはり今の季節が良いですね。

 

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会社名 :金寿恵運送有限会社

所在地 :〒028-5641岩手県下閉伊郡岩泉町門字上平92

事業概要:素材生産業、運送業