【岩泉の森の人にきく】前川木材・前川幸雄さん(三浦美由紀さん・前川真奈美さん)

このコーナーでは、岩泉の明日の林業をつくる会 に所属し、共に岩泉の森や町で活躍する「森の 人」をインタビューしていきます。
今回は、前川木材の前川幸雄氏と金寿恵運送有限会社の皆川克一氏のお二人をご紹介します。

広葉樹の恵みを いただく最初の仕事
“岩泉の林業の始発点を担う2社”

Part1: 前川木材 前川 幸雄 氏 (三浦美由紀 氏・前川真奈美 氏)

(前川幸雄氏)
 

―前川木材はどのような会社ですか?

 父が旧新里村の素材生産業者から独立したのが始まりです。私は盛岡の電気屋に就職しましたが、二十歳前に父から「体調が悪い」と言われ地元に戻りました。当時は地元に戻すための口実だったと思っていたのですが、半年経たずに父は亡くなってしまい、突然家業を継ぐことになったのです。TWの新車を買ったばかりの頃で、山の現場も動いており忙しい時期でした。半年ほどしか山仕事を経験していなかったのでいきなり社長になって大変でした。当時は広葉樹を伐って岩泉、宮古に運搬していました。宮古のチップ業者とも付き合いがありました。経費節約のため、釜石の工場までTWで直接運び込むこともありました。しかし、輸送コストの上昇や、チップ価格の下落もあり苦しい時期もありました。当時の苦しさは今と比べると次元が違い、仕事がない、山を買うにも資金がない、ということもありました。


(プロセッサを使用した土場作業)
 
 現在の材の主な出し先は合板業者です。杉を扱い始めて10年程度ですが、最近取扱に慣れてきたところです。一時期、2.15m材を3~4年間出した時期があります。普通は2mのところを、2.15mの指定で誤差は上下2㎝以内という厳しさでした。当時のプロセッサは長さのずれが大きいので、チェーンソーで手伐りしていたのですが、誤差が大きいと工場から持ち帰りになり、中にはトラック3台、4台持ち帰る業者もありました。でも、ウチは持ち帰りなし。工場に出す前に何度も測って、下手な人には伐らせない等、品質を徹底したのです。慣れるまでは大変でしたが、小口にウチの2.15m用の印をスプレーしておけば、無条件(検品なし)で通してもらえるようになり、誇らしかった思い出があります。結局、3~4年間で最後まで納めきれたのはウチだけでした。そうした経緯で頼られる、あてにされる立場になり、今のやりがいとなっています。

 

―一緒に業務をしている娘の美由紀さん、真奈美さんについて教えてください。

 手伝いを始めたのは最近ですが、今では貴重な戦力。美由紀は主に事務、木材の検知、会計を担当し、作業道の水切りもやっています。真奈美は最初からプロセッサに乗って現場を担当しています。孫も岩手林業アカデミーに合格したのでこれからが楽しみです。人員は足りていないので、孫には今すぐ来て現場を担当してほしいのですが、学校で資格を取得し、林業に関して全般的に学んでくるので、自分たちが教えるより良いかもしれませんね。(笑)


(真奈美氏(左)と美由紀氏(右))
 

―好きな岩泉の樹は何ですか?

 杉が好きです!岩泉の森は広葉樹やアカマツ、カラマツも多いですが、杉は曲がらず、まっすぐなところ、扱い始めて10年くらい経ち慣れてきたこともあり一番好きです。
(※ちなみに…美由紀氏、真奈美氏も同理由で杉が好きとのこと!)

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会社名 :前川木材
所在地 :〒027-0504岩手県下閉伊郡岩泉町下有芸字肘葛28
事業概要:素材生産業