森林コンダクター月報(2019年11月版)

飛騨出張(広葉樹のまちづくり円卓会議、視察)

 8月に視察にいらした飛騨市に林業水産室・今村室長と森林コンダクター・松永が訪問しました。視察時に2人が説明した町と岩泉フォレストマーケティングの取り組みについて、飛騨市で講演して欲しいという依頼があり、二度目の岐阜県訪問となりました。
 「飛騨市広葉樹のまちづくりセミナー2019 Vol.4」の中で夜7時からの遅い時間にも関わらず、円卓会議のメンバーはじめ、県職員、市議会議員を含め30名以上の方々が参加されました。2人は飛騨の熱量に少し圧倒されながらも、なんとか無事に終了。 方向性が似ているが故に、質疑応答では広葉樹の活かし方や今後の取り組み、体制について関心が集まっていました。
 講演の他は、視察にいらした方々との再会の意味も込めて、円卓会議メンバーの現場を視察させて頂きました。古民家を改装して ㈱飛騨の森でクマが躍る(通称「ヒダクマ」)が運営する日本に3箇所しかないFabCafeのうちの1つ、FabCafe HIDA。訪問時には専門学校生が合宿で利用していて、箸作りなどを体験していました。世界からデザイナーが訪問しており、多様な作品が制作されているようでした。デザインを考えるだけでなく、実際にサンプルをつくることができる設備があり、基本的な木工機械からレーザー加工機まで、いるだけでなにか作りたくなってしまいます。

(ヒダクマ・松本さん)
 
 工房見学では、kino work shop・片岡様、北々工房・北川様を訪問・再会。いろいろな広葉樹を使った作品ときれいな作業場に感動しました。欠けたり、穴があいている材をあえて狙って使った作品など、飛騨高山の木工レベルの高さを実感しました。

(kino work shop・片岡さん)
 

(北々工房・北川さん)
 
 そうした作品をギフト商品として展開している「ひだ木フト」の取り組みを伺うこともできました。https://hidagift.com/最初はブライダルを中心とした商品展開でしたが、そこから人生の節目ごとに着目した展開に発展しているとのこと。直近ではツアーまで開催して、飛騨市の取り組みと連携した活動をされています。近隣の作家さんらをつなげている様子は森林コンダクターのようでした。
 作品を支える山の現場として市有林を飛騨森林組合・新田様のご案内のもと、飛騨市が取り組んでいる「広葉樹育成木施業」について説明をして頂きました。広葉樹と針葉樹の基本的な違いから、伐る木と残す木の判断基準などを聞くことができました。岩泉町でも取り組んでいきたいと今村室長が熱心に聞いており、もしかすると近いうちに岩泉町で新田様を講師にお招きし研修会が開催されるかもしれません。

(飛騨森林組合・新田さんのお話)
 
 訪問先の最後は広葉樹製材を専門とする西野製材所・西野様。岩泉町の製材所とほぼ同じくらいの広さに、きれいに桟積み・整理整頓された板材が並んでいました。板材の他に1枚板もストックしていて、よく見ると符号(暗号)が書かれていました。西野様が師匠から受け継いだもので金額が書いてあるらしいです。製材は基本的には柾目取りをしていて、近隣の需用が家具材なので必然的にそうなっているとのこと。挽き方を工夫することで歩留まりもそこそことか。岩泉町の木も使ってみたいと仰ってくださり、近々実現したいと思います。約1000km離れた飛騨市と岩泉町の広葉樹連携は面白くなるかもしれません。

(西野製材所・西野さん)
 
 講演依頼が発端ながらも、飛騨市の現場をじっくり拝見することができた訪問でした。飛騨市は某有名映画の舞台にもなっていて、聖地巡礼気分も味わうことができました。最後に充実した3日間、付き添っていただいた飛騨市役所・竹田様に感謝申し上げます。
 と余韻に浸る間もなく、11月5日-7日の視察後、11月16日には、東京で開かれた岩泉町主催のイベントで竹田様と松本様、今村室長は再会しました。「木を植えない林業」と題して広葉樹を活かす取り組みをする飛騨市と岩泉町の説明と、両市町の地域おこし協力隊募集案内を行いました。そして、さらに1ヶ月後、モクコレでも会うという濃密ぶり。今後が楽しみです。
 
 

FSC認証材を使った技術家庭教材(出張授業)

 今月も3校で出張授業を行いました。地元・岩泉町の小本中学校、お隣の宮古西中学校、春にも授業をした紫波第一中学校の3校です。

(宮古西中学校)
 
 いくら地元・近隣とはいってもFSC森林認証については、まだまだ全員が知っているわけではないので、授業を通して興味を持ってくれた感想を聞くことができてホッとしました。紫波第一中学校では、4クラス合同・約120人の授業で体育館を使っての授業でした。

(紫波第一中学校)
 

(小本中学校)
 
 小本中学校では、既に作品が完成していましたが、紫波第一中学校はこれから材料選択なので、どの材料にしようか、話を聞いて悩んでいました。自分が興味をもった木で、楽しく作って大事にしてもらいたいものです。12月以降もまだ続きます。
 
 

ふるさとCM by てーだぶ

 ふるさとCM大賞は、各地のテレビ局などが主催し、各市町村が制作する地元PRのコマーシャルを集めて行われるコンクールのことで、岩泉町は「ふるさとCM大賞 in IWATE」に久しぶりにエントリーしました。役場の経済観光交流課が制作することになり、題材は「てーだぶ」。岩泉の明日の林業をつくる会会員であり、これまでのてーだぶイベントでもご協力頂いている前川木材さんのご協力を得て制作されました。搬出の現場などでドローンを活用しての空撮を取り入れたCMになりました。記事投稿からグッズ制作、イベントを通してついに映像化です。
 11月24日に審査会が盛岡で開かれ前川木材・前川幸雄さん、三浦美由紀さんと森林コンダクター・松永が経済観光交流課の皆さんと出席しました。道の駅いわいずみで販売しているてーだぶTシャツを着て、マグカップやタオルを持って登壇・PRしました。岩手県33市町村中、31市町村が参加して、どの市町村のCMも素晴らしく、また面白いものがたくさんありました。岩泉町は22番目に登壇してPRをしました。

(てーだぶTシャツで登壇)
 
 審査結果は、残念ながら参加賞でした。大賞は久慈市でとてもユニークなCMでした。この審査会の様子は12月22日に岩手朝日テレビで放送されます。
 
 

モクコレ令和元年準備

 昨年度(今年1月に開催)初出展した全国の国産材が集まる展示会・WOODコレクションに今年度も出展します。12月に開催される「モクコレ令和元年」の岩手県ブースにて、前回と同じくつくる会と岩泉フォレストマーケティングで2コマのスペースでの展示です。
 千葉大学との共同研究が中心となった前回ですが、今回の展示の方向性は…つくる会の会員事業者の紹介、フォレストマーケティングでは教育や食に関連するFSC認証商品をメインに展示・紹介予定です。展示する商品の製作、パンフレットや展示用パネル作成、その他ブースの装飾に関わるものなど準備を進めてきました。

(パンフレットラフ案)
 
 全国的にはまだまだ扱う企業・団体が少ない広葉樹、FSC森林認証、そして町産材を活用する林業・木材業に関わる川上から川下までの地域連携など、岩泉の商品・取組みをアピールします。
 
 

秋の町有林めぐり…

 広い岩泉町のあちこちに分布している町有林、そのうちのほんの一部ですが広葉樹立木の確認(樹種や太さなど)に行きました。

(町有林のカラマツ)
 
 鹿や熊など獣の気配を感じつつ、葉が落ち始め、かといって葉が全て落ちてしまえば樹種判別が困難に…、そして雪が降り積もってしまう前に…という秋のこの時期、天気の良い日は景色も楽しむことができました。ということですが、秋の町有林を楽しむドライブ&散歩ではなく、今後の町有林伐採計画や岩泉フォレストマーケティングによるFSC認証材の仕入れの参考に…という広葉樹立木の下見でした。

(残す木にピンクのテープを巻く選木作業中)
 
 また別の日には、今年度伐採予定地の立木選木作業にも同行しました。一部はフォレストマーケティングで購入するであろう原木を選びつつ、どのような木を残し、どのような森林に育てるか…。そして、来期フォレストマーケティングFSC認証商品の中心的な役割を果たす樹種…ブナになりそうな気配が…乞うご期待。
 
 

情報誌vol.9

 岩泉の森の今を伝える情報誌「IWAIZUMI FOREST」の第9号を作成しました。
 中面「岩泉の森の今をしる」のコーナーでは、就学前の子どもから大学生まで幅広い世代と関わる岩泉の木育・教育関連の取り組みを紹介しています。

(情報誌vol.9)
 
 裏面は、令和元年度総会と勉強会、飛騨市「広葉樹のまちづくり円卓会議」の皆さまの視察来町、道の駅いわいずみ主催・つくる会共催による第2回TWイベント、小本観光センターへの広葉樹MIXカウンターテーブル納材、ふるさと納税返礼品の新たなFSC認証商品ラインナップ情報など、今号もつくる会と岩泉フォレストマーケティングの活動盛りだくさんです。
 
 
 

おまけ

 つくる会とフォレストマーケティングが関わった納材事例のその後…です。

東京五輪卓球台
 TOKYO 2020オリンピック・パラリンピック卓球競技用公式卓球台(MOTIF)の脚部に岩泉町産材が使われました。原木出材や運搬などの様子は、森林コンダクター月報(2019年5月版)に一部掲載済み…です。

(脚部の材料となったウダイカンバ原木)
 

(TOKYO 2020オリンピック・パラリンピック卓球競技用公式卓球台(MOTIF))
 
 
アンダンチ様 グッドデザイン賞受賞
 昨年の冬から春にかけて事務所カウンターなどに岩泉町産のスギ材を納材していた仙台のアンダンチ様が2019年度グッドデザイン賞を受賞しました。

(納材前)
 

(施工後)
 
 「地域・コミュニティづくり」のカテゴリーでの受賞で、開かれた環境作りと多世代交流を促すための地域・コミュニティづくりの取り組みが評価されたということで、施設のハード面のみ評価ではありませんが、木材を豊富に使った多世代交流を促す空間づくり、その一部に岩泉で出材・加工した材を使っていただいています。