森林コンダクター月報(2018年3月版)

森林コンダクター月報(2018年2月版)大好評(?)につき、森林コンダクターの3月の活動も公開してしまいます。

樹液プロジェクト
2月末に下見を行った町有林での樹液プロジェクトが本格始動しました。非木材森林資源活用に向けての実験ということで、新たに始まった事業です。
快晴の3月某日、下見の段階で選木していたウリハダカエデに樹液回収装置を取り付けて樹液の採取を開始しました。樹液回収装置の取り付け…といってもドリルで開けた穴に器具を打ち込み、ビニールホースに2Lペットボトル、食品保存用ラップでフタをして、ひもで縛って固定するという簡単なものです。当初の計画では、現地で樹液採取量を計量してタンクに移し替えて回収する予定でしたが、凍結により計量・回収できず…で計画変更。ペットボトルを交換して持ち帰り、融かしてから計量、保管へ。
原液そのままのメープルウォーター、煮沸濃縮したドリンク、さらに濃縮したシロップにして、つくる会第5回勉強会で参加者の皆さまに試飲・試食してもらいました。15Lの樹液から300mlのシロップを作るのにカセットコンロで沸かすこと約18時間…手間ひまかかっています。
樹液そのものや煮沸濃縮したシロップの取り扱い先の開拓や樹液採取体験ツアーの開催など、今後の展開をお待ちください。


(町有林での樹液採取の様子)


(採取終了後の樹木と濃縮途中のシロップ)

つくる会第5回勉強会
3月20日(火)、平成29年度最後となるつくる会第5回勉強会を開催しました。ゲストスピーカーには、青森県立五所川原農林高等学校の森林科学科主任・奈良岡隆樹先生をお迎えして「国際森林認証FSC取得への挑戦」ということでご講演いただきました。生徒自身が審査を受けて取得した世界初となる高校生による実習林のFSC認証など、実地での体験を重視した教育・人材育成への様々な挑戦についてお話いただきました。
また、事務局からは昨年7月に設立した㈱岩泉フォレストマーケティングの活動報告、林業カフェの実施報告、町有林での樹液プロジェクト経過報告とともに樹液を煮詰めたシロップの試食なども行いました。


(奈良岡隆樹先生の講演)


(樹液試飲・試食中)

つくる会情報誌第5号取材
つくる会情報誌第5号を製作しました。今号の中面インタビューは町内の工務店2社にお願いしました。仕事を始めたきっかけや会社の創業・設立、苦労話や岩泉の木への思い、そして第4号までと同様に共通質問として「好きな岩泉の樹」などについて伺いました。個人住宅を得意とする㈲佐藤工務店・鈴木社長、公共施設などを得意とする㈱西倉工務店・西倉社長とも、木を建材として扱う難しさや課題はあるものの岩泉町産材への思い、つくる会への期待を感じられる取材でした。取材記事については、当ブログ・森のひとのコーナーで今後掲載を予定しています。


(㈱西倉工務店・西倉社長(左)と㈲佐藤工務店・鈴木社長(右))

㈱岩泉フォレストマーケティング事業打合せ
1月に開かれた役員会以降の活動についての報告と今後の事業に関する打合せを行いました。その後、最近稼働開始したトーア木材㈱さんの燻製チップの製造機を見学しました。チップ乾燥機の覗き穴から見える様子は、SF映画に出てくる宇宙のシーンのような不思議な光景でした。また工場内には、チップの材料となる広葉樹の種類を樹皮や幹から判別するためのサンプルも並べられており、こちらも興味深いものでした。
今後、燻製チップを㈱岩泉フォレストマーケティングの取り扱い商品としても検討中です。


(燻製チップ製造ラインと乾燥機内部)


(広葉樹サンプル)

中学校技術家庭FSC教材製作
岩泉町内でも指導経験がある先生のつながりで中学校技術家庭科の教材開発を進めてきました。「持続可能な開発」をキーワードとして、国際的な取り組みや教育の在り方が進められてきており、それに合致するということもありFSC材を用いた教材開発が始まりました。
そして昨年夏から打合せを行い検討してきた事業ですが、ついに製品化となります。その製品は…FSC認証材の『板』です。㈱吉本岩泉事業所の社有林から伐り出されたカラマツと町有林から伐り出された広葉樹、どちらもFM認証の森林から伐り出された原木をCoC認証を取得している㈱吉本岩泉事業所さんで製材、乾燥し、㈱西倉工務店さんで仕上げるFSC認証の教材です。
共同開発を進めてきた学校のほか、現在県内3校の先生方から興味を持っていただいています。岩泉町産のFSC認証材の製品化が完成間近です。しかも中学校の教材ということで社会的にも大変意義深く、ぜひ今後も継続していきたい製品供給の取組みです。


(教材紹介用チラシの一部)

南部箒の柄を追加製作
箒の柄を追加受注、4月に納品予定です。岩手県九戸村・高倉工芸さんの南部箒。値段だけを見るとたいへんお高い高級箒ですが、材料のホウキモロコシ栽培から材料の加工、完成まで時間と手間を惜しまない職人の技。この箒、実はカーペットの掃き掃除もできてしまう、小さなサイズの和洋服箒などはカシミヤのセーターを毛羽立たせず、毛玉をつくることなくゴミやほこりだけを取り除く、使ってみればぜひ欲しくなってしまう逸品です。百貨店等で実演販売を主としておりますので、ぜひお話を聞いて、体験していただきたい箒です。
という南部箒なのですが、扱っている材料供給は「柄」…棒の部分だけです。このこだわり箒の柄の製作は、色が白くて軽いという特徴を持つサワグルミをつくる会会員・清水畑商事㈲さんで製材し、町内の事業者・集工社さんで丸棒加工という町内事業者の連携による事業です。


(南部箒(小箒))


(丸棒加工の様子)

TWイベント@道の駅いわいずみ
3月17日(土)道の駅いわいずみで、「岩泉の森の暮らしに触れる一日 いすゞ『てーだぶ』が道の駅にやってくる」ということでTWイベントが開催されました。主催は「道の駅いわいずみ」、「岩泉の明日の林業をつくる会」共催ということでご協力させていただきました。
つくる会会員のご協力で、前川木材さんのてーだぶを駐車場に展示、生産終了記念の模型を金寿恵運送㈲さんにお借りして室内に展示させていただきました。森林コンダクター・松永による林業トークの後、駐車場でてーだぶの見学と写真撮影。Facebookでの告知のほかラジオ放送での宣伝などもあり、なんと遠野からK様が3時間ほどかけて「デコてーだぶ」で訪れ、展示にご協力してくださいました。普段の週末より人出が少ないとのことでしたが、午前・午後2回のトークを合わせて50名ほどの方々にご参加いただくことができました。
まさかの『てーだぶ祭り』実現…ありえなくはない話になってきました。


(森林コンダクター・松永のトークとてーだぶ撮影会)


(なんと!てーだぶ3台の展示が実現しました)