2017.09.04
この夏も「岩泉型インターンシップ」が、昨年に引き続き実施されました。「地域で働くことは、地域で暮らすこと」をテーマに、大学生の皆さんに将来のキャリア形成、職業選択について考えてもらう場を提供するという取組みです。なぜ『岩泉型』なのか?…その特徴として、このインターンシップでは岩泉町内の企業・事業所が受け入れ先となり職業体験してもらうのはもちろんのこと、盛岡-岩泉間の往復交通費とインターンシップ滞在中の宿泊費を町が全額補助するという、参加者の皆さんにはいいことずくめの取組みとなっています。
(インターンシップin東北 WEBサイトより)
林業コースのほか、公務コース、製造業コース、観光・小売業コースの4つのコースで募集が行われ、町内の企業・事業所で5日間の職業体験を行ってもらうプログラムで実施されました。全日程7泊8日の岩泉町での滞在場所は「ふれあいランド岩泉」のコテージということで、ホテルの個室生活とは違う、ちょっとした合宿体験も今年の特徴かもしれません。全4コース合わせた参加者は9名(男性1名、女性8名)で、林業コース(林業・木材産業全般)のプログラムには岩手大学から1名の女子学生が参加してくれました(林業コースでは、畑わさび栽培にもう1名が参加)。
林業コース(林業・木材産業全般)は、昨年と同様、岩泉町の林業全般・川上から川下までの各事業所で日替わりで就業体験してもらうというカリキュラムでした。初日は、盛岡からバスで岩泉町に移動後、合同ガイダンスが開かれ、第2日からの5日間は「岩泉の明日の林業をつくる会」の会員に受け入れ先となっていただき職業体験が行われました。
実務体験1日目は岩泉町森林組合さんが受け入れ先となり、山の現場の作業ということで山林の測量等をしてもらいました。悪天候しかもスパイク付きではない普通の長靴で歩きづらい山の中で、測量機械も難なく操作し問題なく作業してくれました。
2日目は㈱吉本岩泉事業所さんで、社有林での除間伐および作業道敷設現場の見学と重機操作体験、製材所での製材業務体験でした。見学のために現地に到着した時には、作業道の予定していた工事か所はすでに終了していたため、比較的平坦な場所で重機の操作体験をゆっくりとさせてもらうことができました。土砂の掘削や移動のみではなく、バケットやキャタピラを使った締固めなどの作業も難なくこなしてしまう器用さで、操作手順の把握やバケットの角度のつけ方など重機操作のセンス、上達の速さは現場の皆さんからもたいへん高評価をいただいていました。
3日目は(株)岩泉フォレストマーケティングでの商品企画会議参加、岩泉純木家具さんの工房の見学などでした。岩泉の林業の特徴や「つくる会」の概要の説明、今回の商品企画に関連する原木や木材の現地での確認、家具工房では木材加工の各種機械や家具の試作品などの見学も行いました。商品企画会議は、インターンシップの事前課題で実施してもらったアンケートの回答をもとに、具体的な商品開発につながる話し合いとすることができました。また、情報発信の実践ということで、当日の実務体験の様子をfacebookに投稿してもらいました。
4日目は日本木材工業㈲さんで、木材の集成加工の補助作業を行ってもらいました。そもそも集成材とは何か?ということや集成材工場・作業工程についての説明を受け、また様々な種類の集成材の実物を見たうえで、実際の集成材加工のラインでの補助作業を行ってもらいました。また、現場の皆さんの打ち合わせ会議にも参加させてもらうことができ、黙々と作業するばかりではなく現場の方々と多くのコミュニケーションを取らせてもらうこともできました。
5日目は㈲佐藤工務店さんで、7月に導入したばかりという最新機器を使ったCADでの住宅設計とVR体験。住宅建設現場(役場・農林水産課職員T様邸)で広葉樹ユカハリの施工をしてもらいました。CADの作業では途中データが消えてしまうというトラブルもあったようですが、鈴木社長のお手伝いでなんとか元の作業まで再生していただき、完成した住宅内の様子をその場で疑似体験するという大変貴重な体験をすることができました。
インターンシップ最終日となる第8日、合同報告会が開かれました。他のコースと合わせて9名のインターンシップ生の発表と受け入れ企業・事業所の方々からの講評が行われました。林業コースでは5か所の受け入れ先の中で、一日のみの受け入れであったにもかかわらず㈲佐藤工務店の鈴木社長がご出席くださり、講評をいただきました。途中データが消失してしまうトラブルもありながら、普段使うことのないCADを難なく使いこなしていた様子など短い時間の関わりではありましたが、事務所での体験の様子をお話しいただくことができました。
「岩泉型インターンシップ・林業コース」の岩泉の林業の川上から川下までの職務体験をするという5日間を中心にご紹介しましたが、コテージでの共同生活やインターンシップを経験したOB・OGとの交流、休日には郷土芸能祭の見学など岩泉の人やモノ、地域性を知る体験などもあり、たいへん中身の濃い8日間のインターンシップのプログラムでした。学生の皆さんそれぞれの専門や方向性、目標に向かって進なか、今後に繋がる体験、仲間づくりができたのではないでしょうか。
岩泉型インターンシップに興味を持った、来年は参加してみたい…と思った学生の皆さんは、インターンシップin東北のサイトをご覧ください。来年の岩泉型インターンシップ・林業コースでお会いできることを楽しみにしています。