2017.03.19
このコーナーでは、岩泉の森や町で活躍する「森の人」をインタビューしていきます。
今回は、トーア木材(株)と清水畑商事(有)の「二人の田鎖さん」をご紹介します。
山と暮らしをつなぐ鎖(チェーン)
”二人の田鎖(たくさり)さん”
part1:トーア木材株式会社 代表取締役 田鎖 昇 氏
―トーア木材はどんな会社ですか?強みは?
トーア木材株式会社は、昭和33年創業で、8年前には創立50周年記念誌を発刊しました。私の先代、2代目社長の丸岡の言葉に『山ある限り、人いる限り』というものがありすが、地域に根ざした企業として、樹種・A~D材関係なしに受け入れることができる体制を作っています。
事業としては、創業時はリンゴ函の仕組み板の製材から始まり、徐々に関連する分野に広がって現在は製材パレット、チップ、バーク堆肥、オガ粉の生産、原木売りと幅広く行っています。
(様々な樹種のパレット)
台風の影響で土場が削られ原木の一部流されましたが、その他の生産設備は無事で通常稼働しています。
19名いる社員は多能工的で「百姓軍団」だと思っています。元左官、元電気工事、元大工がいるので、機械不良や設備製作の際は、自前で何とかできてしまう。そうした変化に対応しやすい企業でもあります。これまでも、様々な社会・業界の変化の度に、さまざまな事業に取り組めたのは、そうした背景があったからだと思います。意識的に何でもできるようにしてきたことがひとつの強みですね。
私は若い頃は東京で働いていたのですが、長男なので、父親が病気になったことを機に岩泉町に戻り、地元の岩泉町浅内で仕事を探したことがきっかけです。昭和60年からお世話になり、平成14年から代表をしています。
(おが粉はきのこ栽培等に活用されます)
―岩泉の森のこれからは?
合理性追求・外材対抗の針葉樹に比べて、広葉樹は付加価値を高めた少量多品種の製品生産ができ、山への利益還元も可能です。ただ、広葉樹も針葉樹も商品をつくることはできても「売る力」というのが一番難しく感じています。
ふだん広葉樹を見ているので、 2月に行った岡山県西粟倉村では、あれだけの人工林になっている山はすごいと思いました。また西粟倉村はほぼスギ・ヒノキという状況の中、「為せば成る」でがんばっている姿はとても素晴らしかった。子供用の家具を製作するベンチャーを尋ねましたが、ターゲットを絞ったビジネスで成立していることに驚きました。こだわりを追求して取り組んでいけば市場は開けることを見せていただき参考になりました。翻って岩泉町でもやはり課題は「売れる」ことだと思いました。
ゆくゆくは「森の百貨店」みたいなものが町内にできたら良いですね。木材に関わるものだけでなく、イヌワシが見られるスポット紹介など森に関するすべてが触れる・見られるものがあると面白いかも。
(うず高く積み上げられた原木)
―田鎖社長の好きな樹は?
ヤマザクラが好きです。工場から見える山にポツポツと点在しているのですが、花が咲くとその様子がきれいで好きです。あとはナラです。薪、ホダ木、チップ、用材と様々な製品になりますからね。「愛でるヤマザクラ、活かすナラ」といった感じです。
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会 社 名 :トーア木材株式会社
所 在 地 :〒028-2231 岩手県下閉伊郡岩泉町浅内字川崎9−1
事業概要:製材、パレット製造、おが粉・チップ製造、バーク堆肥製造