森林コンダクター月報(2019年3月版)

木材塗装講習会

 レーザー彫刻などでお世話になっている岩手県工業技術センターの研究員さんからのお誘いで、『木材加工技術講習会―木材塗装の基本とオイル仕上げの実際―』に参加しました。

(毎度おなじみになりつつある?岩手県工業技術センター)
 
 40名の定員を大幅に上回る大盛況の講習会でしたが、内容や資料のWEBでの公開はご遠慮ください…ということで。具体的な講習会の内容はお伝えできませんが、HPで公開されている内容は
 
 木材塗装の基本と歴史 ―ニスやステインとは
 木材塗装(仕上げ方法)の種類と特徴 ―木地仕上げと白木仕上げ
 木材の種類と特徴及び塗装適性 ―針葉樹、広葉樹(環孔材と散孔材)の塗装方法
 オイル塗料の種類と特徴 ―正しいオイル塗装法(実演)

 
といったものです。

(ロビーの案内板)
 
 材料の種類と目的に合わせた塗料の種類、そして実演しながらの具体的な塗装のやり方…どれも興味深く今後の参考になるお話と技術しでした。木材塗料研究会(木塗研)のWEBページもご参照ください。
 
 

三陸万玉

 三陸海岸の浜の美しい石の写真を切り揃えて配置する組写真。認知症予防を目的とした作業療法で作った組写真を展示するための箱(宝箱)の製作依頼がありました。天板は波をモチーフに、箱はその後形見入れとして使ってもらえるようなつくりに…とのご要望でした。

(組写真の展示用木箱)
 
 今回いただいたご注文は、完全オーダーメイドの木箱です。製作は岩泉純木家具さんにお願いしました。波をモチーフに…という天板の材には、純木家具さんが大切に保管していたミズメを使ってもらうことに。そして、作品展示用の木箱ということで、作品をまとめたファイルを保管しつつ、展示するときには蓋を開けて固定できるように…と。作品展示と保管時と使用場面を考えつつ、蓋やファイルを固定する方法はどのようにするか…。純木家具さんの若手職人・跡部さんのアイデアと技術が詰まった木箱です。組立前に天板に手書きの「三陸万玉」の四文字をレーザー彫刻で印字して、完成しました。

(5つ並べて…)
 
 ひとつだけでも素晴らしい作品ですが、木目を合わせて五つを並べると陽の光でさざ波が輝いている水面のようにも、水底に光が差し込む川の流れのようにも見えます。箱自体を作品として展示したくなる…と、並べた箱を眺めながら依頼者も大変喜んでおられました。

(納品記念撮影)
 
 林業・木材業の川上から川下まで事業者が揃い森林コンダクターが繋ぐ、岩泉ならではのオーダーメイド製品。「こんな木、こんな板探しています」、「木を使ってこんなモノ作れませんか?」…などなど、お気軽にご相談ください。
 
 

広葉樹MIX

 広葉樹MIXローテーブル納品しました。納品先は…岩泉町役場から道路を挟んだ岩手県岩泉地区合同庁舎内にある岩手県沿岸広域振興局宮古農林振興センター林務室岩泉林務出張所です。つくる会勉強会にオブザーバーとしての参加や、IWAIZUMI Forest情報発信チームの一員としてFacebookへの記事投稿もしている佐々木さんが個人的に購入してくれました。

(納品記念撮影)
 
 業務時間終了後の納品だったため、帰宅しようとしていた岩泉林務出張所の砂子田所長もお引止めしてのお披露目。天板の裏面にはあらかじめナットを埋め込んであるため、脚の取り付けに使う工具は付属の六角レンチのみで、女性でも簡単に組立可能です。

(簡単に脚の取付・取外しが可能です)
 
 オーダーメイドの広葉樹MIX天板、複数樹種の組み合わせで作られるため、今回の配色の天板は世界で一枚だけ。森林の仕事に携わる皆さんだけあって広葉樹MIX天板のすごさは、十二分に伝わった様子でした。このテーブルに合うグッズを集めなければ…と、広葉樹MIXのある暮らしが始まる?佐々木さんでした。
 
 

樹液活用講座

 昨年3月に樹液採取後、樹液プロジェクトの一環として、樹液の利用やメニュー考案、試作づくりの相談に伺ったうちの一か所、安家地区の「かむら旅館」さんから依頼が届きました。平成28年台風10号災害に伴う河川の護岸工事や道路拡幅に向けて、急きょ伐採するカエデの木があるため樹液を取りませんか…と、NPO法人岩泉地域活動推進センター(NPOぱぁとなぁ)さんを通じてのお話しでした。

(樹液の試飲中)
 
 ということで、樹液採取法レクチャーイベント『樹液活用講座~樹液の取り出しを体験しよう!』開催決定です。講師は、東京で開催された日本メープル会議にも出席した森林コンダクター・逢見が務めました。
 まずは、樹液の試飲から。煮沸時間が異なる2種類とシロップになるまで煮詰めたものの味くらべ。長く煮詰めたものの方が甘さを感じ、シロップについては皆さん納得…これはいい!と、樹液を「煮詰めただけ」のメープルシロップのおいしさに驚いた様子でした。
 ではその採取方法は…ということで、樹液についてのお話と採取方法の説明、そして採取の実演です。ドリルで穴を開け、器具を取り付けるとすぐに樹液がポタリポタリ…出てきた樹液をその場で味見もしてもらいました。

(樹液採取の実演です)
 
 カエデの樹液採取時期は、岩泉なら3月くらい、一年のうち早春だけのお楽しみです。来年3月あたりは、岩泉のあちこちで器具が取り付けられたカエデの木を見かけるかもしれません…。
 
 

森林コンダクター募集(地域おこし協力隊募集セミナー)

 当ブログやFacebookページでもお知らせ済みですが、森林コンダクター、畑わさび生産日本一協力隊など、岩泉町では地域おこし協力隊絶賛大募集中です。ということで、募集イベントのお手伝いで東京に行ってきました。

(ふるさと回帰支援センター)
 
 いわて暮らしサポートセンターふるさと回帰支援センター内)で開催された岩泉町主催『岩泉町の日本一をみんなで支えよう ~地域おこし協力隊募集セミナー~』でゲストスピーカーとして、「森林コンダクターの仕事」と「岩泉での暮らし」をご紹介させていただきました。

(森林コンダクターの仕事と暮らしをご紹介)
 
 参加者数は多くなかったものの、プレゼン終了後には個別相談もさせていただきました。また会場となった「ふるさと回帰支援センター」は、移住について具体的な行動に移している方々が主にいらっしゃる場所のため、今回の参加者から岩泉町へ来てくださる方がいるかもしれません。4人目の森林コンダクター誕生…か?
 
 

引き続き広葉樹原木求めて…

 2月に引き続き、広葉樹原木を求めて山へ…。今回は特にFSC®認証材を求めて、町有林をはじめとした認証林での原木確認です。

(FSC認証林の現地確認中)
 
 雑木(ぞうき)山…といわれることもありますが、針葉樹の人工林とは異なり、広葉樹林では単一樹種が群生することは少ないため求める樹種がどのあたりにありそうか、森林組合さんや山主さんから情報収集した上で現地へ向かいました。
 雪が少なく比較的暖かいこの冬の岩泉、長靴を履いてぬかるむ作業道をウロウロ…。現地で実際に確認してひと安心、FSC認証原木仕入れの目途がなんとか立ちました。

(町有林にて玉切り前の丸太)
 
 (株)岩泉フォレストマーケティングが製造元のFSC認証製品、完成に向けて動き出しています。
 
 
おまけ
 2017年の先進地視察先株式会社マルホンさんから岩泉町産材などを使ったFSC認証の国産広葉樹無垢フローリングが販売開始されました。浜松発の岩泉町産広葉樹×FSC製品、お試しください。
 
おまけ-その2-
 ふるさと納税のお礼の品として岩泉町産材を使った木工品や燻製用スモークチップの取り扱いが始まりました。ふるさと納税を使って岩泉町やIWAIZUMI Forestの活動を応援してください。