森林コンダクター月報(2018年12月版)

さんたーん

 地方移住に興味がある人のための情報誌「さんたーん」が、岩手県沿岸広域振興局から創刊されました。誌名の「さんたーん」は三陸ターンの略でありつつ、三陸へのU、I、Jの「3(さん)」タイプのターン、そして三陸の明るい未来を照らす太陽の「SUN」という想いが込められているとか…。この情報誌は三陸沿岸地域への移住者インタビュー集で、沿岸広域振興局によると『実際に沿岸地域に移住した個性豊かな9名のインタビューを通じ、沿岸地域の「魅力」を首都圏等県外の皆さんに情報発信することを目的に今回初めて発行したもの』ということです。

(さんたーん創刊号(岩手県ホームページより))
 
 インタビューを受けた『個性豊かな9名』…そのうち3名は森林コンダクターです。ちなみにこの取材、昨年2月に受けたもののため生活の状況はそれぞれ当時からは変わった部分もありますが…、待ちに待った発刊でした。
 ジョブカフェいわて内「いわてU・Iターンサポートデスク」やふるさと回帰支援センター内「いわて暮らしサポートセンター」等で無料配布を行っているほか、WEBでも公開中とのことです。
 

山の神

 諸説ありますが…12月12日は山の神が木の数を数えるため、山に入ってはならないとされ、この日に山に入った人は木として数えられてしまうとか、木の下敷きになってしまう…と言い伝えられています。12月12日に山林での作業を行わないという慣習が現在も残っており、岩泉町でもこれにしたがい山での仕事は行わないのが一般的です。そのため岩泉町森林組合などでは、安全講習や祈願祭(忘年会?)が行われています。
 そこで慣習にしたがい(?)森林コンダクターもこの日は山には行かず、加工を依頼していた製品の受け取り等のため岩泉純木家具(有)さんを訪問したところ偶然(?)、山の神の恩恵にあずかることができました。岩泉純木家具(有)さんでは、特別な儀式を行うわけではないそうですが、山に向かって拝む、塩で機械のお清めなど行い、その他には従業員の皆さんでお昼にホルモン鍋を囲む…と。

(温かいホルモン鍋をいただきました)
 
 ということで、厚く挽かれたセンの原板をテーブル代わりに、薪ストーブを囲んで温かくおいしいホルモン鍋をいただきました。普段は作業の様子を見学させてもらうだけのことが多い職人の皆さんと、ホルモン鍋を食べながらお話し、交流を深める貴重な機会をいただくことができました。
 

FSC®認証教材納品とFSCジャパン

 8月に行なわれた技術教育研究会第51回全国大会をきっかけにお問合せをいただいた、東京の中学校に教材を納品することになりました。

(和光中学校教諭・中山先生と記念撮影)
 
 11月に開催された第40回ジャパンホームショーの「IWAIZUMI Forest」出展ブースに科目担当の先生がお越しくださり、正式に受注・納品することになりました。早速3学期の実習で使用していただきます。また、開催期間中にFSCジャパン事務局の方々も出展ブースにお越しくださり、FSC認証の木材を使った技術教材の製品化にご注目いただきました。そして、この取り組みがFSCジャパンのFacebookページに事例紹介として取り上げられました。
 こうした経緯から、今回の教材納品に事務局の河野様も同行・取材することになりました。

(FSCジャパン・河野様と中山先生)
 
 今年度製作分の在庫はすべて完売し、来年度受注・納品分は現在町有林にて伐採作業中のFSC認証材を利用して、COC認証取得後初の(株)岩泉フォレストマーケティングのFSC認証製品として製材・加工予定です。
 

ふるさと発見!大交流会 in Iwate 2018

 滝沢市の岩手産業文化センターアピオで開催された「ふるさと発見!大交流会 in Iwate 2018」にて、役場から「岩泉町」として出展しました。
 このイベントは、大学生を中心として2,000名ほどが集まり、岩手の様々な産業・社会活動を発信し合う交流の場として開催されました。メイン会場では県内の企業・団体等が200以上のブースでそれぞれの魅力を伝えあう「大交流会」、そのほか様々なイベントも同時開催されました。イベントのひとつ「インターンシップフォーラム」では、岩泉町まるごと営業本部・まるごとコネクター穴田光宏氏による岩泉型インターンシップについての説明と、今年度岩泉型インターンシップ・林業コースに参加した岩手県立大学1年生の千葉真之介さんからの報告がありました。

(今年度林業コースに参加した岩手県立大学1年生・千葉真之介さん)
 
 大交流会では出展ブースにて6回設けられた10分間のプレゼンタイムで、岩泉町地域おこし協力隊と岩泉型インターンシップについての2本立てでプレゼンを行いました。地域おこし協力隊については、森林コンダクターとしての活動や移住後の生活に関するお話をしました。岩泉型インターンシップについては、まるごとコネクターの穴田氏から具体的な説明と今回お手伝いに来てくれた昨年度のインターンシップ生の体験談をお話ししてもらいました。

(岩泉町ブース)
 

(展示ブースにて10分間プレゼン)
 
 また、役場以外からも岩泉町の企業として、つくる会会員・岩泉純木家具(有)さんや岩泉乳業(株)さんも出展しました。純木家具さんのブースでは、シンボルマークのタペストリーを展示していただいており、もちろん岩泉町内ではおなじみのつなぎ姿、工藤林太郎専務の背中にもシンボルマークが。

(岩泉純木家具(有)さんのブース)
 
 岩泉町の取り組みを学生・生徒の皆さんに伝え、交流する貴重な場となりました。年度が替わった4月以降に募集開始となりますが、来年度も岩泉型インターンシップは開催予定とのこと。そして、岩泉町地域おこし協力隊の募集も開始され、農林水産業関係では新たな森林コンダクターも募集中です。
 

岩泉純木家具(有)乾燥機本格稼働

 2016年の台風災害以来、修理・パーツ交換を重ね試運転を繰り返してきた岩泉純木家具(有)さんの木材乾燥機ですが、ついに本格稼働を始めたとのことで板の搬入作業を見学しました。

(岩泉純木家具(有)さんの土場)
 
 先の台風襲来により岩泉純木家具(有)さんでは、工房は浸水と泥の堆積により機械の多くが故障、材料の乾燥・保管等を行っていた土場では敷地の一部が増水した小本川の激流に削られ崩落、保管中の材料が流出するなど大きな被害に見舞われてしまいました。が、ついに社有の木材乾燥機が本格稼働を始めました。

(木材乾燥機に板を搬入)
 
 長期間動かしていなかったこともあり、試運転するたびにどこかのパーツに不具合が出るなどなかなか本調子にならなかったところ、ついに本格稼働が可能になったとのことで見学させていただきました。今回乾燥する板の使用用途は…今のところ企業秘密ということでした。

(土場の崩落個所)
 
 土場も見学させてもらいましたが、河川改修と削られた敷地の復元はこれからという様子でした。河川改修ほか、山林では林道・作業道の崩落した場所などが数多く、台風災害からの復旧作業はまだまだ道半ばです。