森林コンダクター月報(2019年4月版)

新年度開始

 この冬は雪の少ない岩泉…のはずが、新年度の始まりは真っ白な雪景色となりました。道路に積もった雪はすぐに解けましたが、その後も4月中に降雪が何度か…。

(新年度の始まりは雪景色でした(平成31年4月1日))
 
 という新年度の始まり、町長室にて委嘱状交付式がありました。そしてわれわれ森林コンダクターもそれぞれ復興支援員、地域おこし協力隊としての委嘱状交付式に出席。1年ぶり?のスーツ着用でお腹まわりのサイズアップが気になりつつも、身を引き締めて臨みました。
 つくる会事務局のある役場農林水産課では、職員の異動、席替えもあり、夜には恒例行事、課の歓送迎会があり新たなスタートとなりました。
 
 

FSC®認証材を使った中学校技術家庭教材

 新年度開始…学生・生徒の皆さんも入学、進級、新学期の始まり、新しい学年に向けて中学校技術家庭教材、今年度も製造・販売いたします。(株)岩泉フォレストマーケティングが昨年11月にFSC COC認証を取得し、初のFSC認証商品として製造に入りました。
 2月、3月に認証林の土場で確認・調達、その後、運搬・保管していた原木の製材を始めました。多種の広葉樹を使うのが特徴ではありますが、まずは針葉樹から…。今回の針葉樹はアカマツです。岩手の県木にもなっている南部アカマツ、樹皮は赤いですが幹はキレイな白です。

(皮を剥き終えたアカマツの原木)
 

(桟積みされたアカマツの板)
 
 そして広葉樹の第1弾(1学期授業で使用予定の学校向け)の製材・乾燥も進んでいます。

(広葉樹を桟積み中)
 

(広葉樹の板を乾燥機へ)
 
 (株)吉本岩泉事業所さんで保管中の認証原木を利用し、認証のチェーンを繋いで材料の原板として仕入れました。授業に間に合うよう加工・仕上げを行います。
 
 

森林コンダクター教壇に立つ…

 FSC認証材を使った技術家庭教材のコンセプトは、木材加工の授業をとおして持続可能な社会構築への取組みについて学ぶことができるというものです。それに加えて、技術教科の免許を持たない免許外教科担任でも、指導者の経験やレベルに関わらず使える教材…ということも目標としています。
 そのため、材料である板のオプションとして、授業で使用可能な資料の提供も行っています。FSC森林認証についての内容はもちろん、岩泉の林業・木材業や使用する教材の板が丸太から製材、乾燥、加工・仕上げされ手元に届く流れなどについて、担当する先生方が授業に合わせて画像ファイル等を自由に選択して使うことができます。

(紫波町立紫波第一中学校)
 
 そして教材の本体である『板』の納品に先立って、この内容について教材発案者・伊東賢治先生が担当する紫波町立紫波第一中学校にて出張授業を行うことになりました。1コマ50分間の授業、導入とまとめは伊東先生にお任せして、中身の約30分間で中学生にわかりやすい話を…。

(伊東先生のサポートもあり無事終了)
 
 初めての試みで不安もありましたが、授業後に生徒の皆さんから提出された学習シートには、嬉しいコメントもたくさんもらうことができました。
 
 

山火事防止宣伝パレード

 毎年3月1日~5月31日まで山火事予防運動実施期間です。空気が乾燥し、例年山火事が起こりやすいこの時期、しかもこの冬雪の少ない岩泉。林業関係団体、消防署や地域の消防団、警察署の皆さんにご協力いただき、山火事防止宣伝パレードが行われました。

(林業関係団体ほか多くの車両が集合)
 
 出発式では、今年度から着任した宮古農林振興センター林務室岩泉林務出張所の高橋恵華さんから「町民の生命と財産を守るため、山火事防止に努めます」との決意表明が行われました。林道など道路工事の影響もあり一部コースを変更しながら、4コースに分かれてのパレードでした。

(出発式)
 
 残念ながらその後、岩泉の近隣地域(宮古市田代地区など)で今年も山林火災が発生してしまいました。まだまだ火の取り扱いには十分注意をしなければならない春の岩泉です。
 
 

小物製作

 レーザー彫刻の作業を行いに岩手県工業技術センターへ…と、その前に、材料の加工を行いました。

(木工作業中)
 
 広葉樹×ユカハリや中学校技術家庭科教材のハネ材、小口が一部割れていたり、大きく反っていたりするものを活用して、コースターを製作しました。板全体としては利用できませんが、長さを短く切って利用する分には問題のない材料です。あとは…加工の精度を高めることで商品化の可能性が出てきました。

(加工した広葉樹の材料を持参)
 

(樹種に合わせてレーザー出力調整中)
 
 今回はカバ、ホオ、オニグルミなど樹種を増やし、レーザー出力や照射スピードを樹種に合わせて調整しながらサンプル製作しました。商品完成までもう少し…です。
 
 

サケ稚魚放流@清水川

 台風10号に見舞われた平成28年以来、3年ぶりのサケ稚魚放流体験が開催されました。

(清水川から宇霊羅山を望む)
 
 岩泉小学校といわいずみこども園合わせて55名の児童・園児が参加し、10,000尾の稚魚を放流しました。森林コンダクターは、のぼりの設置と稚魚の入ったバケツを子どもたちに渡す係担当でお手伝い。早朝のにわか雨で川の水位が上がっていましたが、滑ったり転んだりする子もなく無事に稚魚を放流し、見送ることができました。

(10,000尾のサケ稚魚)
 

(足元に気をつけながら無事に放流できました)
 
 産卵のために再びサケが海から帰ってこられるきれいな川を守るよう、広葉樹の森林が育む豊富な湧き水を絶やさぬよう岩泉の森林づくりはつづきます。