森林コンダクター月報(2019年2月版)

IWAIZUMI Forestグッズ製作

 大人気絶賛発売中のポロシャツに続け…と、新作のIWAIZUMI Forestグッズ製作を進めています。森林資源有効活用も考えながらのグッズ開発・試作製作中です。
 広葉樹の端材や、農業被害などをもたらす有害鳥獣対策で生じた野生獣皮を活用しつつ、IWAIZUMI Forestグッズにはシンボルマークを…ということで、盛岡にある岩手県工業技術センターへ。

(岩手県工業技術センター)
 
 岩手県工業技術センターでは「県内のものづくりに関わる方々の技術支援」を行っており、技術相談などもしていますが、今回は「機器・設備貸出」を利用してレーザー彫刻機でシンボルマークの刻印をしてきました。事前に予約の上、使用する図版のデータと刻印する材料を持参すれば時間単位の有料で設備を利用することができます。

(彫刻データ調整中)
 
 初めてでも研究員の方々が、懇切丁寧に対応・指導してくれますので心配なしです。どのくらいの濃さで彫刻するか、図が彫れれば良いか、切断までするか…といった作業内容や材料(木材では樹種など)によってレーザー出力や照射時間を調整しつつ、アプリケーションソフトのイラストレーターで作製したシンボルマークの図版を持参した板や革に刻印しました。
 今後、量産・販売体制に入るか…検討中です。

(販売検討中のIWAIZUMI Forestグッズたち)
 
 

第4回勉強会

 平成30年度第4回勉強会が開催されました。小泉淳様((株)三越伊勢丹プロパティ・デザイン)と木村司様(木村木材工業(株))のお二方の講演と質疑応答・意見交換、事務局から第40回ジャパンホームショー、モクコレ2019出展、(株)岩泉フォレストマーケティングの活動報告などでした。

(小泉淳様((株)三越伊勢丹プロパティ・デザイン))
 
 講演では、SDGs、CSV、ESG投資、エシカル消費、フェアトレード…など、まだまだ馴染みの薄いことばもありますが、様々なキーワードをとおして世界の流れをお話しいただきました。そして、英米の富裕層を中心に海外で最も普及しており信頼性が高いことなどからFSC®認証製品が求められているという現状を知ることができました。

(木村司様(木村木材工業(株)))
 
 また、木村様からは工務店の方などを対象にしたクイズ形式での木材に関するお話もありました。とくに、木材の天然乾燥と人工乾燥の違い、無垢材と集成材の違いについては、飲料を使った比較実験により直感的にわかりやすく説明する工夫などもあり、大変興味深いお話でした。
 FSC認証材に対する需要と産地に求められていることを知ることができ、今後の取り組み方の参考になる講演でした。

(出展報告と千葉大共同研究(IWAIZUMI WOOD DESIGN PROJECT)の作品紹介)
 
 

課内勉強会

 つくる会事務局のある町役場農林水産課にて、不定期開催の課内勉強会が実施されました。今回の講師は、森林コンダクターが担当せよ…とのご指名を受け、森林コンダクター・逢見が「広葉樹とその個性について考える」ということで広葉樹の多様性や特徴、用途など、ふかーく語ってくれました。

(講師は森林コンダクター・逢見)
 
 種類が豊富な広葉樹のサンプルを使って色や木目、重さや匂いなどの違いを感じてもらったり、樹種と用途の「適材適所」について身近な事例をとおして説明したりと、前職のフローリングメーカー勤務経験を活かした興味深い内容でした。日曜朝の情報番組で「喝」をする野球解説者H氏が、ある話をするとWEBページの閲覧数が上がる…という野球好きのネタもあり、課員の皆さんにも大好評の広葉樹に関するレクチャーでした。

(広葉樹サンプル)
 
 

広葉樹原木求めて…

 いくつか問合せや注文要望を受けている樹種の丸太を求めて、土場の確認に行きました。
 まずは町有林へ。昨年度の伐採現場は安家地区の町有林で、樹液採取のフィールドとしても利用した場所ですが、この冬は別の場所で小本地区の町有林が伐採の現場となっています。標高や斜面の方角による日当たりの影響があるためかナラやハンノキなどが多い現場です。

(FSC認証原木搬出真っ最中の町有林)
 
 次に向かったのは有芸地区、つくる会会員菱和林材工業(株)さんの現場から搬出され、用材向けに選別された原木を確認しました。ナラ、クリ、シラカバ、ヤマザクラほか…多樹種でかなり太めのものもあり、全部買える資金があれば…と思ってしまうワクワクする土場でした。

(菱和林材工業(株)さん現場からの原木)
 
 それから新北菱林産(株)岩泉工場さんの土場です。山からの搬出現場では選別なしでパルプ用木材チップ向けに持ち込まれた原木から、用材などとして利用可能なものが選別されています。今回目的の樹種ではありませんが、キハダやウルシなど少し珍しいものを見たり、より価値を高めるちょっとした工夫などが聞けたりと、こちらも楽しい現場でした。

(チップ材原木荷下ろし中の新北菱林産(株)岩泉工場さん土場)
 

(キハダ樹皮は染め物や生薬などに利用されます)
 
 

町産材利用潜入調査?

 森林コンダクター月報(2019年1月版)でもご紹介した内装等に町産材を使用した店舗に伺いました。
 1月中旬にグランドオープンした宮古市の『ゲストハウス3710』さんでは、カウンターテーブルと展示用テーブルにスギ、天井などにカラマツを利用しています。

(ゲストハウス3710さん(宮古市))
 

(スギ一枚板のカウンター)
 

(天井にカラマツ板)
 

(割れ止めをそのまま活かした天板)
 
 続いて、2月中旬に新規オープンした東京都杉並区の『スパイス飯店』さんです。こちらのお店では、カウンターと棚板にスギ板、モスグリーンに塗装を施した壁と天井にはクリのフローリング材を利用しています。テーブルにもクリ材を使っています。

(スパイス飯店さん(東京杉並区))
 

(スギ板のカウンター)
 

(クリのフローリングを天井に)
 

(壁にもクリ、なんとテーブルにもクリフローリング材を転用)
 
 近くにお越しの際は、ぜひお店にお立ち寄りいただきゆっくりと岩泉町産の木もお楽しみください。
 
 
ゲストハウス3710
〒027-0084 岩手県宮古市末広町4-6

スパイス飯店
〒167-0053 東京都杉並区西荻南2-19-5