【平成29年度 つくる会勉強会まとめ】

 昨年度(平成29年度)は、岩泉の明日の林業をつくる会勉強会を5回開催しました。講演のほか、ワークショップあり、現地研修会もありで、バラエティに富んだ内容の勉強会を開くことができました。
 

第1回

 第1回勉強会は、6月23日開催の平成29年度つくる会総会に引き続き行われました。東北森林管理局 三陸北部森林管理署 釜津田森林事務所の佐久間彬氏をゲストにお招きし、「釜津田森林事務所の取組み紹介―カラマツ人工林内での有用広葉樹生産―」ということで、釜津田森林事務所の取組みをご紹介いただきました。
 生物多様性を高めるような多様な森林づくりに関することや、カラマツ人工林内での広葉樹の育成状況に関する調査からブナやイタヤカエデなどの大径木が確認され、これらの有用広葉樹の活用を推進するといった、より価値を高め利益につながる森林づくりについての今後の方向性など、大変興味深いお話を伺うことができました。

 

第2回

 第2回勉強会は7月26日に開催、FSCジャパン事務局の岩瀬泰徳氏をゲストにお招きして、「日本国内におけるFSC®森林認証普及の最新状況」について講演していただきました。
 日本におけるFM認証林(Forest Management:森林管理の認証)の面積は、増加があまりみられない一方、CoC認証(Chain of Custody:製造・加工・流通過程の管理の認証)は、製紙業界等で特に増加している。しかしながら認知度については、ヨーロッパ諸国と比較すると極めて低く、日本ではあまり知られていない制度であるという現状をお話いただきました。また、認証材の使用が謳われている2020年東京オリンピック終了後には、環境配慮の調達方針から、世界的な潮流である持続可能な開発を考慮し、「人権」「社会」への配慮も含めた責任調達時代となることが予測され、日本企業においても世界的に通用する説明責任を果たすツールとしてFSCが貢献するであろうということでした。

 

第3回

 第3回勉強会は11月16日に開催され、千葉大学工学部准教授・樋口孝之氏による特別講座「デザイン 人によりそうアプローチ」のあと、4グループに分かれてのワークショップ「山主になったつもりで、山をつくろう!」が実施されました。

 
 川上2グループ(グループ名:森1、森2)、川中(グループ名:材)、川下(グループ名:工)の計4グループに分かれて、架空の山林の所有者になったつもりで、その活用方法について様々な意見を出し合い、グループごとにまとめて発表を行いました。樋口先生とともに千葉大学非常勤講師・木田健一先生のご指導もあり、たいへん活発な話し合いができ、多くの気づきが得られたワークショップとなりました。

 

第4回

 第4回勉強会は、12月18日に現地研修会ということで安家地区の町有林で開催されました。「広葉樹の採材・造材研修(顧客に喜ばれる採材・造材とは?その基礎を学ぶ)」と題し、講師として岩手県森林組合連合会 共販部の米澤健氏にご指導いただきました。
 気温は氷点下でたいへん寒い中ではありましたが、岩泉町森林組合・現場作業班の皆さまほか多くの方々にご参加いただくことができました。製材後の製品をどのような用途で使うか、その使い道を考慮した上での欠点の捉え方や、より価値の高まる採材の仕方など、木材取引の現場からの貴重なお話を聞くことができました。

 

第5回

 平成29年度最後となる第5回勉強会は、平成30年3月20に開催され、青森県立五所川原農林高等学校森林科学科主任・奈良岡隆樹氏をお迎えして、「国際森林認証FSC取得への挑戦」ということでご講演いただきました。生徒自身が審査を受けて取得した世界初となる高校生による実習林のFSC認証など、実地での体験を重視した教育・人材育成への様々な挑戦についてご紹介いただきました。

 
 また、事務局から昨年7月に設立した㈱岩泉フォレストマーケティングの活動報告、町有林での樹液プロジェクト経過報告とともに樹液を煮詰めたシロップの試食なども行いました。

 

 今年度も、町外や県外からのゲストをお招きして勉強会開催を予定しています。IWAIZUMI Forest フェイスブックページのイベント欄でも次回勉強会の開催情報を掲載していますので、どうぞご覧ください。皆さまのご参加をお待ちしております。