【岩泉の森の人にきく】有限会社佐藤工務店・鈴木政実さん

 このコーナーでは、岩泉の森や町で活躍する、「森の人」をインタビューしていきます。今回は、つくる会会員・ (有)佐藤工務店の鈴木政実氏をご紹介します。
 
木造の魅力を引き出す仕事人
“岩泉での暮らしを支える2社の工務店”

 
Part2: 有限会社佐藤工務店 鈴木 政実 氏

(鈴木政実氏)
 

―今のお仕事を始めたきっかけを教えてください。

 父が大工の仕事をしていて、会社の創業は父の代の頃になります。高校卒業時は今の仕事に就こうとは全く考えておらず、とりあえず東京で仕事をしていました。しかし、東京は遊ぶにはいいが、住むところではないと思い岩泉に戻りました。再度東京で仕事をしたこともありましたが、その後家の仕事をしようと思い戻ってきて、22~23歳の頃に大工見習から始めました。
 社長になったのは平成15年ですが、社長になってからもやっていること、仕事の内容は同じです。気持ちが一番変わったのは、社長になった時より、2級建築士を取った時です。それまでは父や親戚から教わりながらの現場作業ばかりで勉強などしていなかったので。社長は自分じゃなくても誰でもいいですが、建築士資格は勉強して頑張って取って、知識を利用、活用して仕事と結び付けられる。その分仕事も取ってこないといけないし、責任も感じていました。社長はとにかくがむしゃらにやるだけです。

(オフィス兼ショールーム)
 

―仕事をしていて辛かったことや嬉しかったことは何でしょうか?

 やっていて大変なことはケガをした時です。クリの土台を指に落とした時は、どうなるかと思いました。床板を貼る前の根太から足を踏み外して落ち、あばらを打ったこともあります。それでも仕事があれば何とかなります。
良かったことは、やっぱりお客さんに喜んでもらったことですね。インターネットのクチコミで星4つつけてくれた人もいます。5つではウソっぽいですが、4つはリアルだし、ちゃんとコメントも書いてありましたよ。

(つくる会ロゴ入りTシャツを着ての作業)
 

―岩泉の木への思いを教えてください。

 木を住宅に使いたいですが、品質や乾燥の精度が気になってしまいます。含水率を測ったとしても表面の測定値だけであって中まで乾燥していないこともあるため、しっかりと実証した上で品質の担保をしてほしいと思います。乾燥が不十分な材料を使うと後からクレームがくるし、それを直すのも大変。天然乾燥でもしっかり寝かせれば良いかもしれないが、今はスピードの時代、待っている人はいないでしょう。最終的にはお客さんに迷惑をかけてしまうので、木材を使いたいですが材料を適当に選ぶことはできません。
 つくる会や森林コンダクターには、サンプルを持って行ってもらい、木材屋さんとつなげてほしい。町産材を使うとしたら、どこに、どんな所に使うかな…、全体ではなく一部がいいかもしれません。集成材も壁にアクセントで貼るのはどうでしょうか。

(屋根にきれいな木が見える、施工中の住宅)
 

―好きな岩泉の樹は何ですか?

 アカマツかな。昔からなじみが深いので。梁向けなど昔は地元産で使えるのはアカマツ、和室以外はスギでした。また、アカマツをフローリングにしたいというのは昔から言っています。昔の家のアカマツを使った床は色が真っ黒になったりしていますが、いい味も出すので。
 
会社名:有限会社 佐藤工務店
所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字中野45-11
事業概要:建設業